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Monster 4



白い月が浮かんでいる。

まだ満月ではないものの、冷たく輝く月の光が窓から差込み、部屋の中を照らしていた。
このささやかな光は、サンジの姿をよりいっそう美しく浮かび上がらせる。


「この館には地下牢みてぇなのはねぇのか?」

「・・・・?なんだやぶからぼうに。そりゃ・・元は誰かの持ちモンの再利用品だからあるけどよ。」

結局、ゾロが出した結論は一人で耐えるということだった。
満月の作用がなくても、日々サンジを抱きたいという欲求は強くなっている。
そして、抱けばサンジを傷つける。
ならば、それ以外思いつかなかった。

たかが人間用に作られた牢獄に、今の自分を閉じ込めておけるとは思ってはいない。
これは自分に科す戒めだ。
独りになって頭を冷やそうと思った。

「・・・・困ったやつだ。」

サンジは目を伏せ、少し拗ねているような不思議な表情で言った。

「昼間の仕事が出来なくなるのは申しわけねぇ・・・だが、嫌な予感がする。
月が満ちている時間だけは俺を一人にしてくれ。」

「そうじゃねぇ。そうじゃなくてよ・・・・そんなに・・・俺が、大事か?」

そこで、ゾロはやっと、あぁ、この表情もサンジが恥ずかしがっている表情なのだと気がついた。

「大事だ。」

きっぱりと断言したゾロに、サンジはそれこそ泣きそうな目をしてゾロを見上げた。

「お前はっ・・・・」

「・・・?」

「お前は・・・・・・・ストレートすぎて・・・・困る。」

サンジはそう言うとそれきり俯いてしまった。
唇をかみ締めながら深く考えているようで、随分長い沈黙が流れた。

「もし・・・」

まだ、視線は床に落としたままで、サンジが口を開いた。

「もし、俺から抱いてくれって言ったら。お前はどうする?」



一瞬、確実に自分の心臓は止まったのではないかとゾロは思った。
それから、今度は急激に鼓動を早め、大量の血液が全身に送られ、
頭に血は上り、毛皮に隠されていた男根が猛々しく勃ち上がる。

サンジは白い指先をゾロの頬に滑らせ、細い身体を摺り寄せてきた。

「寒いんだ。けど、お前と一緒にいると、その冷たさを忘れる。」

「駄目だ、そんなことを言ってはいけない。」
そう、サンジに言おうとした。
しかし獣の口から漏れたのはただの唸り声のような音だけだった。

「お前が、俺の身体を少しでも忌み嫌うような素振りを見せたら我慢するつもりだった。
でも、お前がいつもそういう目で見ててくれるから・・・」

俺のほうが先に我慢できなくなった・・・と、小さく微笑んだ。

「好きだよゾロ・・・。」

言葉で返事をしてやることは出来なかった。
目が眩むほどの高揚を覚えたかと思うと、細い身体を押し倒し、白い身体を隠す邪魔な衣服を引き裂く。

自制など保てるはずがない。
そんなゾロの答えに、サンジはゆっくりと股を開き、幸せそうに笑った。









激しい息遣いが遠くに聞こえる。

淫猥な水音・・・そして、体液と甘い血の匂い。


いくら本人が、自分は頑丈だと言ったとは言え。
こんなに細く頼りない雰囲気を漂わせたサンジに、自分はいったいなんて無体を強いているのかと思わずにはいられなかった。

だが、どうしても衝動は止まらない。
いや、病気のせいなどではないのだ。
これはあくまでもゾロ本人の意思に間違いない。

何をしてでもこの男が欲しかった。
この体を自分の思うがままに貪りたかったのだ。
サンジへの思いが募れば募るほど、それは凶悪な形で現れる。

ぐっと白い太ももを開き、サンジが恥ずかしがって首を力なく振るのをわかっていて、
それでも可憐なアナルに己の人外なサイズのペニスを捻じりこんで思い切り射精した。
とてつもない快感が全身を駆け巡り、目の前がチカチカする。

「サンジっ・・・すまねぇ、イテェか??辛ぇか??」

ハァハァと荒く息をつきながらサンジの顔を伺った。
こんなことをしてしまったが、それでもこの男がいとしいと思うのには変わりはない。
こんなに傷を付けておきながら言うことではないが、愛していた。

「サンジっ、サンジッ!!」

懺悔の様にサンジの名を叫んだ。
情けないとは思うが、涙がにじみサンジの顔が少しぼやけた。

「大事にしてぇっ。ちゃんと抱いてやりてぇっ。
なのに、畜生!!!!」

サンジのアナルは、血とゾロの出した大量の精液で桃色に染まっていた。

アナルだけではない、サンジの体中がゾロの爪や牙が触れたことによって傷がつき、
真っ白で美しいはずの肌が血まみれだ。
当たり前だ、こんな惨いことをし続ければ。

どうしても抱きしめたかった。
この肌に触れたかった。
この美しい体の最奥に精液を注ぎ込み、この男は自分のものだと世界中のすべてに知らしめてやりたかった。
だが、それを達成するには、この美しい男を傷付けなければいけない自分に猛烈に腹が立つ。
触れるたびに爪が容赦なくサンジの肌を切り裂いてゆく。
愛していると思えば思うだけ、ゾロのペニスは硬さを増し、柔らかい内臓を傷つけた。


サンジを仰向けにして太ももを割り開き揺さぶっている時。
ふと、膝や肘に酷いかすり傷があることに気がついた。

そこでようやく。今サンジを抱いている場所がベッドではないことに気がついた。
満月の光が血と精液にまみれたサンジの身体を淫らに浮かび上がらせている。

このまま夜が明けたら日の光が当たってしまうと、ようやく理解して青くなった。

やはり今の自分はサンジを抱きたいという衝動に抗えない。
こんな大事なことを一瞬とは言え忘れてしまうほどに。

こんな状態で抱くべきではなかったという後悔に苛まれ、
だがそれよりもまずは寝室に・・・とサンジの身体を抱き上げた瞬間。

「あああぁぁぁぁぁぁああぁぁん!!!」

サンジが仰け反るようにして痙攣し、声を上げた。

「サ、サンジ。どうした??」

慌ててサンジの身体を抱きしめ涙と涎まみれの顔を覗き込んだ。

サンジは、陸に打ち上げられた魚のように口をパクパクとさせてから、
「おく・・おく・・・っ」と、うわ言のように呟く。
どうやら、中に入れたままのペニスが、抱き上げようと身体を起こした瞬間に深くに入りすぎて、
奥の奥を突き上げてしまったらしい。

慌てて抜こうとしたが、
サンジが目に涙をいっぱいにためて、ゾロの体に全身でしがみついてきた。

「いいんだ、いいからゾロ。抜かないでっ」

その動きによって、ナカから押し出された精液が、じわりと漏れて二人の結合部を濡らす。

「いいんだ、ベッドに行くならこのまま連れて行け。
それに、俺もちゃんと気持ちいいから。そんな顔するな。
ほら、みろよ。」

そっと、サンジの血にまみれたゾロの手をとり、己の下腹部にやった。
まだ傷のついていないそこに新たな血を流させないよう、指の腹で少しだけ触れた。
そこは、ゾロが延々と注ぎ込んだ精液で、男の体にしては随分と大きく膨らんでいる。
狼男になったせいでペニスに出来た肉の塊がふたの役割をして、中にある精液を外に出すまいとしているせいだ。

「ここにな?ここに・・・ゾロが出したやつがいっぱい入ってきて。
おれ、こんな体になってから初めて、は、腹の奥からあったかくなっ・・・て・・」

青い目からほとほとと涙がこぼれる。
ゾロはたまらない気持ちになって、大きくひらひらとした舌で目じりの涙をすくった。
本当は思うままに口付けをしたかったが、今の獣の口ではサンジの顔にまで傷を付けるだけだ。

「まるで・・まるで・・な?生きてた時みてぇだ。
すげぇあったかくって、命の熱さが俺の中で脈打ってる。
なぁ、なぁもっと、大丈夫だから、壊れたりしねぇから、傷なんて痛くねぇよ、本当だ。
だから、な?もっと、なぁ、もっとっ、頼むから!!」

サンジのペニスは、痛みのためかすっかり萎えたままで、ちょこんと膨らんだ腹の上に乗っている。
だが、それでもサンジは白い足をゾロの腰に絡め、悦んでゾロを受け入れた。

「なぁっ、なぁおねがいだからっ!!もっとゾロのが欲しいっもっと出してぇぇ!!!」

最後は悲鳴にすら聞こえるような強請る声に、ゾロは耐えるのを止めた。
思うままサンジを抱きしめ、体を揺さぶり、股を開かせて最奥を突き、強請られるままに精液をたたきつける。

そのたびにサンジは女のような声を上げ、
そんな自分に羞恥を覚えながらも、ゾロの名を呼びながらたまらないように体をくねらせた。









今は昼なのか、それとも夜なのか。
正気を取り戻した時、ゾロには判別が付かなかった。

途中何とかサンジを寝室に連れて行ったのはよかったが、
その後どれだけサンジの身体を貪っていたのか覚えていない。

どんなに強い日光ですら遮るカーテンで仕切られた真っ暗な部屋の中で、
薄ぼんやりと見える白い裸体は酷いものだった。

ぐったりと力なく投げ出された手足は、ゾロが思い切り握ったためか、大きな手形がつき、
腰や背中、丸い尻には正気をなくしたゾロの爪によって、無数の切り傷が付いている。

まだナカに入れたままだったペニスをアナルから引き抜けば、
サンジが痙攣するたびに、こぷんこぷんと血が混じった大量の精液が漏れてくる。
そこも随分裂傷し、痛々しく腫れた肉で盛り上がってしまっていた。


痛みのためなのか、震える体が自分を怖がっているように見えて
ゾロは自分でも笑ってしまいそうなほど、
そっとそっと指先でサンジの顔を上げさせ表情を覗き込んだ。

赤みの差さない死者の顔。
だが、そこには確かに表情があって、瞳は恍惚と悦びに潤み、口元は微笑んでいた。

「・・・ゾロ。」

小さな小さなかすれた声で囁く姿が綺麗だと思った。

「サ・・・・」

愛しい名前をつぶやこうとした。
だが、これが感極まったという心境なのだろうか、
思いだけが先走って、なかなか言葉が口から出てこない。

「っ・・・・」

すまない、とか、痛いか、とか、言わなくてはいけない言葉がたくさんあったが、
それは結局声にならず、

言葉より先に、涙が頬を伝って落ちた。

それに気がついたサンジがゆっくりと手を持ち上げてゾロの頬に触れる。
冷えた手に己の手を重ね合わせ、形を確かめるような感覚で指先に口付けた。



静かに時間が流れ、ようやく少し気持ちが落ち着いてくると。
急いで涙をぬぐい、サンジの身体をそっと抱き起こして「手当てを・・・」と言ったが
サンジは「大丈夫だ」と言って笑うだけだ。

「大丈夫じゃねぇだろ。全治何ヶ月だよこりゃぁ。」

「大丈夫だって。俺はヴァンパイアなんだ。こんな傷、一晩で治る。」

「しかし・・・」

こうして見下ろしていても、ゾロのように急激に傷が癒えていくというわけではなさそうだ。

「ヴァンパイアの傷の治し方は、お前らとは違うんだよ。
身体を霧状に変えて、闇に穢れた土を敷いた棺桶の中で一晩眠ればいい。」

だから、俺が消えたように見えても驚くなよ?
と、そう笑って、静かに音もなくサンジの輪郭が崩れ、霧散する。
今まで抱いていた重みがなくなり、
シーツにはただ、血と精液の汚れだけが残った。

それを視界に納めた瞬間、
心臓がぎりっと音を立てて締め付けられ、鳩尾にずしりと冷たい感情がこもる。

遠い昔、同じく剣士を志した幼馴染があっけなく死んだ時のことを思い出した。


 −−はは、だからそんな怯えた顔すんなって。大丈夫だっつったろ?

声帯を震わせて出た音ではない、だが確かに聞こえた声に反応して虚空を見上げた。

暗闇の中、薄ぼんやりと漂うミルク色の霧。

 −−これもヴァンパイアの能力の一つだ。心配すんな。
   お前も変身がとけたばかりで疲れてるだろう?

言われて己の手を見ると。毛皮も爪もない、人間の掌がそこにあった。
よく見ればベッドの傍らに3本の刀が落ちている。

 −−ベッドは・・・その、汚れてっから、毛布だけ持って別の部屋で寝るといい。

「・・・お前の、その棺桶はどこにある。」

 −−・・・?そりゃ、地下においてあっけど。

「俺も傍にいる。」

 −−んな、無理すんなよ。結構適当な場所に運んだから居心地とか悪ぃしじめじめするし、それに・・・

「それなら、そんな寂しい場所に一人でいるな。」

 −−・・・・・。

ひょっとしたら、一人にしてほしくなかったのは自分のほうなのかもしれない。
だが、事実はどうあれサンジを一人にさせる気は毛頭なかった。

「・・・お前が目覚めるまで待っている。」

 −−・・・・・・・・バカ

霧状のサンジには表情も何もない。

だが、ゾロは確かにサンジの切なげな泣き顔を見た気がした。




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