「ワンピース版 暴れん坊将軍」





サンジとゾロは、正直忙しい。

将軍であるサンジのことは、まぁともかく。
ゾロだって殺人的と言うくらい忙しい。

そりゃぁ、今で言う役所っぽい仕事(警察とか裁判とか、住民の悩み相談とかまで)は、
全部奉行所で行っていたと言うんだから、仕事の量も膨大だ。
なんでも、この時代に奉行所で働いている人の死因に、
過労死なんつーのも混じっていたと言う話なんだから、
その頂点の一人である、南町奉行をやっているゾロの忙しさはどれだけのものか。

それでいて、そのお相手は天下の将軍様。
「プライバシー?なにそれ。」と言わんばかりの地位にいて、
どうやって秘密の逢瀬なんかできますか。


……いや、ごめんなさい、嘘ついた。

実は余裕でやってるんだけど。
そりゃぁもう、二人っきりの時間なんて持てたが最後、
ズッコンバッコンやってるんだけど。

だけど、やっぱり、難しいわけで。
なかなかお互いの時間が合わないわけで……。


二人の逢瀬があってから、また数日後の事。
各所の中間報告として、上層部の者たちが集まった時に。
「くそう!今日はゾロが来る!見れる!話せる!匂いが嗅げる!
(いや、最後のはどうよ、俺。>自分ツッコミ)」と、
サンジがいつもより機嫌が良くなっちゃうのもしょうがないことなのだ。


サンジは思わずにやけてしまいそうになりながら。
それでも根性で極力顔に出さないようにゾロの姿を眺めてみた。

姿勢よく座り、端正で「きり」とした顔を正面に向け、紋付袴を着こなす姿は、
この場に居る者たちの中で一番光り輝いているように思える。

(チクショウ〜〜俺には劣るとはいえ、かっこいいよなぁ〜〜〜♪)

口には出さないが、サンジはめろりんきゅ〜な勢いでゾロに「ぞっこんらぶ」なのである。



もちろん、ただ外見に惚れたわけではない。
かなり前の話になるが、ある時、サンジの耳に
「権力に屈することなく、公平に裁く奉行がいる。」
と言う噂が飛び込んできた。

長いものにはとりあえず巻かれておけ……そんな雰囲気が蔓延する世の中で。
信念を曲げずにいられる男とは、どんなものなのだろうと、まず興味を持った。

だからこそ、
紀州藩に隣接する伊勢山田の奉行でしかなかったゾロを。
サンジは将軍になってすぐに、江戸町奉行に任命したのである。


……んが



どうしてか、実際に話し合ってみると、なぜか意見が対立することが多く、
何かとあれば、よく喧嘩をした。


もちろん、ゾロとサンジの喧嘩だ。
どんなことになったかは押して知るべし。


喧嘩をするたびに、他人にも迷惑をかけたし、酷くムカついたが、
冷静になってみると、将軍である自分に直言してきたと言う事実に、改めて感心し、

……そして、身分に関係なく、腹を割って話してくれたことが嬉しかった。


喧嘩をして、仲直りをして、笑いあって。



……気がついたら、惚れていた。




(そりゃぁさ、天下の将軍様が、
男のイチモツをケツ穴に銜え込んで、
あんあん言ってるのもどうかって悩んだ時期もあったさ。
でもだめなんだ、どうしたって、もうあいつとは離れられねぇ。)

そう、サンジは思いをはせる。

先日、自分の身体に刻まれた口付けの後が疼いてたまらない。
ゾロの逞しい腕の中に包まれた時の暖かさがないと生きていけない。
力強い眼差しを向けてくれるのならば、
自分はどんなことでもやってのけることができるだろう。

(大奥に居る、ちょっと化粧の濃いお姉ぇさま方には悪いと思うけど……)

ゾロ以上に自分を魅了する存在なんて、この世に居ない。





「こちらも滞りなく、勤めを果たさせて頂いております。」

いつもの様に凛とした声が耳に心地よく響く。
サンジと一緒にいるときのゾロは、よく笑い、よく喋るが。
こんな仕事の場ともなると、一気に無口で無愛想になるのだ。

(好きだ〜とか言ったり、甘やかしてくれたり、
ぎゅって抱きしめてくれたりするようなゾロを知ってるのは、俺だけなんだなぁ〜♪)

そう思うと、胸のあたりがほわっと暖かくなってくるような気がする。


だが、あまりに必要な事以外喋ろうとしないゾロに、少し意地悪をしてみたくて、
大切な話が終わった後、雑談の雰囲気になった時に話題を振った。

「ところでゾロ。お前が通っている道場で、誰か目を引くものはいないか?」

すると、ゾロはほんの少し考えると。

「コーザという者が、よい腕と心を持っております。」

と、きっぱりと言った。




それに、サンジは少し驚く。

江戸と言う世になってから、戦争と言うものは起きる事が無くなった。

確かにいいことではあるが。剣の腕を披露する場が極端に減ったと言う事でもある。
それゆえ、本気で剣の稽古を受けようというものが少なくなり、
今いる道場の他に出稽古に出ても、
半端な者しかいないと愚痴っていたのはまだ記憶に新しい。

(だが、サンジとしては、ゾロの居るミホークの道場と比べたら、
どこの道場も半端になってしまうのではないかと思っている。)


「ほう。その、コーザなる者は何処の武家のご子息ですかな?」

それを尋ねたのは、北町奉行のクロコダイル。

サンジは思わず顔をしかめそうになって、慌てて顔を無表情に作り直した。
正直に白状すれば、サンジはこの男が嫌いなのだ。

だが、今の世の中、味方だけでは世の中を納めてはいけない。
自分の意見とはまったく違う意見も時には必要だからだ。

だが・・・

(やっぱ、嫌いなモンは嫌いだ。こいつの声、なんかやらしーんだよなぁ〜。)

心の中で、悪態をついていると。ゾロが言葉を返していた。

「いえ、武家のものではありませぬ。
ですが、その魂は、決して武家の生まれの者に引けを取らぬほどにございます。」

ゾロがそこまで人を褒めるのは珍しい。



サンジは、そのコーザという者に少し嫉妬を感じたが、同時に興味も湧いた。

「ゾロ、お前がそこまで言うのならば、よほど立派な者なのだろう。
一度会ってみたいものだ。」

「上様!」

 慌てて窘めに入ったのは、お目付け役のチョッパーだ。

「ゾロ殿の言う事が信じられないわけではありませぬが。
そのように気軽に下々の者に顔を見せられては…。」

と、いつものように、よちよちとこちらに寄って来ながら、
可愛らしい声でとくとくと説教をする。

「ああ、わかっているよチョッパー。ちょっとごねてみただけだ。」

「上様ァ。」

チョッパーとは、子供の頃からの付き合いである。

チョッパーとしては、サンジの願いはすべて聞き入れてやりたいとは思うものの。
いつまでも、子供のような駄々をこねる事があり、そう言うところを見ては叱り付ける。

それも、時々わざとチョッパーを焦らせるような事を言うのだから困ったものだ。

しかし、それも一つの愛情表現だということがわかる故に、
チョッパーも厳しくは言えないでいた。

結局、チョッパーもサンジに弱いのである。

泣きまねでもしてやれば、なんだかんだ言いつつ、外に送り出してくれるのだから。



(よし!今度城を抜け出した時、そのコーザって奴を見に行ってやろう!)

こうしてサンジは、今日もまた他人に大迷惑なことを心の中で盛大に誓った。


Next>>>



<中間の言い訳>

……ええっとすみません。
奉行所の詳しいこととか、聞きかじっただけなので、
ひょっとしたら嘘ぶっこいたかもしれません(爆)

それから、将軍様が、どれだけ忙しかったのかも、わかりません(死)

ただ、プライバシーがないのは、
中世のヨーロッパの王族です。これは、本当みたい(w(混ぜるなよ自分)

あ、でもね?
大岡越前と、吉宗が、よく意見を対立させて、
喧嘩をしていたって言うのは本当らしいです(w

なんていうか、萌え?(誰に聞いてる)




ワンピーストップに戻る
玄関に戻る