◇◆猫のお話◆◇
![]() そのよん |
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心行くまでロロたんと愛し合い。 サンちゃんは、見も心も満たされて眠りに付いたのですが、 深夜にふと目を覚ましました。 昔は、一度寝たら朝までは何が何でも寝てやる! と言う感じだったのですが、 赤ちゃんを産んでから、体のつくりが少し変わったようです。 赤ちゃんには、昼も夜もなく、ご飯、トイレ、 むずがればそっと抱き締めたりほお擦りをしてあげなければいけません。 だから、身体のほうでもそれが分かっているようで、 そろそろ赤ちゃんがご飯を食べたがっているだろうなと言う頃になると、 自然に眼が覚めるのです。 ・・・けれど、なんだか変だ。 サンちゃんは思います。漠然とした不安が胸に押し寄せます。 今は夜中、草木も眠る丑三つ時。 でも・・・。 そうです、サンちゃんはやっと何がおかしいのか気が付きました。 静か過ぎるのです。 赤ちゃんには、昼も夜もなく、お腹がすけばみーみー鳴くはずなのに、 家の中はシンと静まり返っているのです。 サンちゃんは、飼い主のゾロとサンジを気遣って、 小さな声で赤ちゃんを呼びました。 けれど、返事が返ってきません。 サンちゃんは、ざっと血の気の引いた表情になりながら、家中を探し回りました。 |
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「にゃーん・・・」 皆がおきないように、サンちゃんは小さく小さく鳴きながら赤ちゃんを探します。 たんすの中、洗濯籠の中、ソファーの下、ベッドの下も。 全部全部探しました。 だけど、赤ちゃんは何処にもいません。 「にゃー」 サンちゃんは泣きそうになりました。 母は強しと言いますが、そんなのはきっと嘘です。 不安で不安で溜まりません。怖くてどうしようもなくて、目の奥がジンとします。 そんな時。自分が赤ちゃんのを探すのと同じくらい小さく自分を呼ぶ声が聞こえました。 ロロです。 いつもだったら、踏み付けようが蹴ろうがなにをしようが起きないロロが、起きていました。 心なしか、ロロの顔も真っ青になっています。 サンちゃんは、ロロに赤ちゃんがいないことを訴えましたが、 ロロも気が付いていたようで、 俺も探した、2階には居ない。と答えました 赤ちゃんは何処に言ってしまったのだろう、 ここは、やはりゾロとサンジも起こして一緒に探してもらおうか。 と・・・そう、考えた瞬間でした。 二匹は急に思い出したのです。 そういえば、今日家に来たナミさんは、やけに大きなかばんを持ってきてはいなかっただろうか。 例えば、二匹が外に連れて行かれるときに入れられる鞄にそっくりだった気がするのです。 そして、増えすぎた飼い猫は、大抵の場合そのお友達の家に連れて行かれるのだという事を、 二匹はすでに知っていました。 ただ、それが自分たちの身に降りかかるとは想像もしていなかっただけの話です。 俺とロロの、大切な大切な赤ちゃんは、ナミさんの家に行ってしまったんだ。 サンちゃんはずいぶんと時間をかけて、その事実を理解しました。 ジンジンと胸のあたりが痛い気がしました。 どうやら、乳が張って、赤ちゃんたちにミルクをやる時間だと体が教えてくれているみたいです。 ・・・でも、この家に、ミルクを上げる赤ちゃんは・・・もう、いません。 |
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二人の赤ちゃんは、もうこの家には居ない。 その事を理解したサンちゃんは、ロロにむかってにっこりと微笑みました。 そっかぁ、あいつらナミさんちの子になるのか。 羨ましいよな!あの、ステキなお胸にこう・・・ぎゅむっとされたらよぉ!! おいおい!あんまり嬉しくって衝天しちまうんじゃねぇの??! 大丈夫かぁ?あいつら! サンちゃんは、ぽんぽんとロロちゃんの肩をたたきながら、いつものように喋り捲ります。 ナミさんちなら、ベイビー達も絶対幸せになれる! コレでもかってくらい可愛がってくれるさ! ってゆーか、たまーにかわって欲しいくらいだよな! でも、サンちゃんの台詞は、急にぷつりと途切れました。 ロロが・・・。あの、ロロが、泣いていたのです。 |
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寝汚くて、無口で、無愛想で、けれど優しくて、そして強いロロ。 サンちゃんの愛する旦那様です。 ロロは何も言いませんでした。 ただ、そっとサンちゃんを抱き締めて泣きました。 なんだよ、なに泣いてんだよ。やめろよ! サンジは、思わず静かにと思っていたことも忘れて叫んでしまいました。 ロロのこんな泣き顔を見たら、折角の強がりも意味を成しません。 一生懸命笑顔でいたのに、全て台無しです。 サンちゃんは、ぶるぶるっと身体を震わせたかと思うと、 ぐるぐるまゆげをへにゃんとハの字にして、一緒に泣き出してしまいました。 |
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サンちゃんと、ロロは。喧嘩はよくするけれど、深く深く愛し合っています。 だから、お互いの気持ちが手に取るように分かるのです。 サンちゃんもロロも、お互いの事が大切でした。 お互いの愛の結晶である赤ちゃんも大切でした。 だけど、それと同じくらい、 サンちゃんはゾロのことが、ロロはサンジのことが大切だったのです。 人間の複雑な事情は猫には理解できません。 でも、二匹は、二人を困らせたくありませんでした。 だから、一生懸命声を殺して、二匹でそっと泣いたのです・・・。 |
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深夜・・・あまりにも静か過ぎる家の中で、 二匹の猫たちはしっかりと抱き合います。 ロロはサンちゃんに、これ以上辛い思いをさせたくなくて、 今は何もかもわからなくなってしまえばいい、と。 必死の思いを込めて、サンちゃんを抱きました。 |
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