◇◆猫のお話◆◇
そのいち




にゃー。
黒猫は妙なものを見つけて一声なきました。
黒猫にまだ名前はありません。

その風に乗って運ばれてきた妙なものは緑色をしています。
くんくんと匂いを嗅ぐと、人間の匂いがしました。
まふっと乗っかってみると、なんだかさわり心地がよくて、
とても暖かです。

にゃぁ。
黒猫はもう一つなくと、もごもごとその緑のものに潜り込みました。
うん、なかなかイイ感じです。
黒猫は、その緑色をとても気に入ってしまいました。


俺の腹巻きが見当たらねェ・・・
一体ドコにいった?

風に乗って飛ばされてしまった洗濯物を探しにきたロロノアさんですが、
・・・探しても探しても見付かりません。

うろうろと家の周りを歩き回って、ようやく発見したのですが・・・

・・・なんで、猫が俺の腹巻きん中にいるんだ?

どうやら黒猫に布団代わりに使われてしまったようです。
気持ち良く熟睡している黒猫を見て、
ロロノアさんはどうしたものか困ってしまいました。

ただいま使用中の為、腹巻きは暫く使えませんね、ロロノア氏?(笑)




	さて、ところ変わって、こちらはサンジさんのご自宅。

	サンジさんは少し前からトラ猫を飼っています。
	もともと彼は野良猫で、
	レストランの裏のゴミ箱置き場で出会ったのがきっかけでした。
	でも、なんだか、することなす事がサンジさんの知り合いに似ていたもので、
	つい・・・「そんなに腹減ってんなら、家に来て一緒に暮らすか?」
	と、言ってしまったのです。

	それ以来、トラ猫はずっとサンジと一緒です。
	少々嫉妬深いところがあるので、
	サンジがステキなお姉さまに目を奪われたりすると、
	いっつも邪魔をしてきます。

	そう、こんな風に
	「俺のもんに手ぇ出すな」
	と言わんばかりに女の子を威嚇するものですから。
	まったく困ったものなのです。


	そんなトラ猫に、『ロロ』という名前をつけたことは、
	今のところサンジだけの秘密・・・。

	とてもじゃないけど、知り合いには教えられません。


思いっきり遊んでいたら眠くなっちゃったロロたん。
お気に入りのサンジと同じ色のボールでおねむの時間のようです。

早くサンジが帰ってくればいいのに…

そう思いながら眠るロロたん。
きっと次に目が覚めるのは美味しい料理の匂いと優しい声。


…ガチャン。

玄関の鍵が開けられる音。
あいつが帰って来た音!!

寝ていた体もすぐに覚醒し、俺は慌てて玄関へと向かう。

「に〜に〜に〜」

精一杯あいつの名前を呼んで足元にくっつくと、あいつはいつものように困ったように嬉しそうに笑って俺をみる。
俺の好きなサンジの顔NO2だ!!

「飯か?…ちょっとまってろな。今作ってやるから」

サンジの飯は旨い。
時間のない時は市販のキャットフードってやつを食うンだけど時間に余裕のあるときはサンジが俺の飯を作ってくれる。
これが凄ェ旨くて今まで食った食いもんの中で一番旨ェ!!
だから大好きだ。
旨そうに食う俺を見るサンジの笑顔だって大好きだ。


でも、最近サンジの元気がないような気がする。
いつもみたいに、俺に笑顔を向けてくれるのは変わらないが、
どこか、俺を通して誰かのことを考えているようで・・・。


さて、ここは再びロロノアさんの自宅。

ロロノアさんが仕事から帰ってくると、
あれからすくすくと大きくなった黒猫が玄関先でお出迎えをしてくれます。

にゃーん

「あぁ・・・ただいま。・・・・・・サン。」

ロロノアさんは、黒猫に『サン』と名づけました。
もちろん、本当に名づけたい名前はありました。
むしろバレバレです。
でも、後一文字のところで、珍しく挫けてしまったようなのです。

靴を脱いで家に上がると、サンちゃんは当然のように後をついてきます。
ロロノアさんが夕飯を作るために、お湯を沸かしているときも、
(ロロノアさんは自宅ではカップラーメンくらいしか作れません。)
お風呂を沸かすときも、いつもいつも引っ付いていて、
離そうとすると逆に爪を立てる有様です。

「サン・・・。」

にゃぁ。

「・・・あいつも、テメェみてぇに素直だったらなぁ。」

にゃー?

サンちゃんは、ロロノアさんのことが大好きです。
でも、人間の事情は理解できないようでした。
いつものように、にこにこと機嫌よく擦り寄ってくるだけです。

「俺も・・・そろそろ覚悟決めなきゃならねェなぁ。」

ロロノアさんは、どこか決意を込めた視線で遠くを見つめていました。
サンちゃんは、それがどんな事であれ、ロロノアさんには頑張ってもらいたかったので、
ガンバレと、ロロノアさんのほっぺに鼻面を押し付けてあげました。



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