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今日は良い日
きゅっと、良い音を立てながら最後の一枚の皿を拭き終えた。 食器はピカピカ!キッチンもピカピカ! 俺はタバコをふかしながらにんまりと笑った。 午後の昼下がり、風は西、空は晴天、ガキどもは外で楽しく騒いでいるし、 俺の機嫌はいいし、ナミさんは変わらずお美しい。 今日は良い日だ。 「おい、水くれ。」 トレーニングを終えたのか、ゾロがキッチンの扉を開け、汗まみれの姿で入ってきた。 まぁ、そろそろ来るだろうって事はわかっていたので、冷蔵庫からレモン水を出してコップに注いでやる。 「あーもうっゾロ!あんた、そんな格好で入ってこないでよ、きったないわねー!」 「うっせぇな。水飲んだらすぐ行くよ。」 キッチンの中で海図を書いていらっしゃった、ナミさんの天使の小言を、恐れ多くも聞き流しながら、 ゾロはがぶがぶと一気に飲み干して、コップをテーブルに戻そうとした。 「なぁ、ゾロ。」 「あん?」 ゾロが俺の方を向く。 「好きだぜ?」 がたがたがたっ! あ、こけた。 ナミさんは、「あらまぁ」って感じのちょっとびっくりした感じの顔で俺を見ている。 「あーあ、何やってんだよ。コップ割ってねぇだろうな。」 「なにって、あのなぁ!熱でもあんのかてめぇ!」 「あん?喧嘩売ってんのか?俺はいつでも元気ハツラツだ。」 「あぁ、まぁ確かに阿呆は風邪ひかねぇなぁ。 だが、トチ狂ったとしか思えネェその一言は一体なんだ。」 「ふーん、そういう言い方するんだ。 でも、まぁいいや、狂っててもいいよ。ゾロ、好きだ。」 じっとゾロの眼を見つめて言った。 綺麗な深い深い緑の瞳。俺はそいつが好きだ。 だが、当のゾロといえば、真っ赤になったかと思うと真っ青になって、 だくだくと冷や汗をかきながら、ダン!っとコップをテーブルに置き、そのまま外に走り出していってしまった。 ・・・・・・ったく、未来の大剣豪ともあろうものが、背中は見せないんじゃありませんでしたかねー。 俺はこらえ切れない笑みに口元をゆがませながら、 そっと、ゾロの残した、まだしずくが残っているコップを指先で撫でた。 「サンジ君、ゾロのこと好きなのね。」 ナミさんが海図を書く手を止めて、微笑みながら俺に言う。 「えぇ、ゾロが好きです。」 驚いただろうなぁ。冗談だと思っただろうか。 でも、あいつはルフィと一緒で嘘を見抜くのが上手い。 だから、俺が本気だって事なんてすぐにわかっただろう。 「今日はいい天気ねー。夜になったらきっと星が綺麗よ。」 「はい、いい日です。」 「と言うより、いい誕生日日和・・・・・・ね。」 「えぇ、そうですね。」 きっとあいつは知らない。 すっぱりさっぱり忘れこけているに違いない。 19年前の今日、自分が産声を上げただなんていうことは。 でも、俺は知っている。全員の誕生日を知ったその日からずっと心待ちにしてた。 「ひょっとして、誕生日プレゼントは俺〜♪なんて言って、 自分にリボン巻いちゃうタイプ?サンジ君はv」 「ははは、できる事ならそこまで行きたいものですがねー。 でも、いいんです。俺今幸せですから。」 「ふふ、じゃぁサンジ君。特別に私のみかんを必要なだけおすそ分け。 美味しい料理にして頂戴ね。」 「もちろんです!ナミさんv」 「あたしは、秘蔵のお酒でもちょっと分けてやろうかな。」 「それはきっとあいつ喜びますね。」 「ま、同時に裏があるんじゃないかって構えるんでしょうけどね。」 「頭使うようにできてないんだから素直に喜べばいいのに、ホント馬鹿ですねーあいつは。」 「でも、そんなゾロが好きなのよね、サンジ君は。」 「はい、全てが。」 「好きな人の誕生日を祝えるって、本当に幸せよね。」 「はい。」 なんだか、ナミさんは自分のことのように嬉しそうだった。 きっと、今年の5月に、今の俺と同じ気持ちを味わったからじゃないだろうか。 ナミさんは、ばさばさとテーブルの上に広げた海図を片付けながら俺に言った。 「さって、それじゃぁ、私もそろそろ飾り付けの準備を手伝ってこようかな。」 「あぁん、行っちゃうの?なみさぁん〜」 「そうよ、行っちゃうの。だって、これから料理に集中したいでしょ? 大丈夫、ルフィはあたしが責任を持って見張っててあげるから。」 と、チャーミングなウィンクを俺に下さってから、ドアノブに手をかけた。 「正直、サンジ君はこのままずっと言わないのかなーって思ってた。」 「・・・・・・そうですね、そのつもりでした。」 「でもいいじゃない、折角のゾロの誕生日なんだもの。こんなにいい日なんだもの。 告白の一つや二つしたくなるってものよね。」 「一度したからには、百や千でもしますよ。」 「うん。がんばれっサンジ君」 ナミさんがキッチンの扉を開けると、 さぁっと風が通り抜け、ナミさんと俺の頬を撫でていった。 当の告白されたゾロは今どこにいるんだろう。 いつもならここで汗を流す為にシャワー室に行っているはずだけど、 そんな事も考え付かずに船尾で蹲りながら考え込んでいるかもしれない。 俺は、出入り口に立ち、青空に向かって紫煙を吐いた。 冷たい風が心地良く、向かう先の海はどこまでもどこまでも青く広い。 そして、雲ひとつ無い、潔いくらいのいい天気だ。 今日は、ゾロの誕生日日和。 どうしようもないくらい幸せで、愛おしい日・・・・・・。 Happy birthday ZORO! END えーっと、サンゾロチックに見えるかもしれませんが、ゾロサンです! 誰がなんと言おうとゾロサンです!(どーん) きっと彼は襲い受けになります。(どどーん) 正直私一人だったらこういう話は生まれなかったんじゃないかなぁ。 モデルの白羽の矢が当たったなと自覚した方は、仕方がないので泣いてください(爆) まぁ、冗談はともかくとして。 11月11日。この日が彼を愛する全ての人に良い日でありますように。 |